2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧
(犯人やトリックを明かしてはいませんが、そもそも本書は、たいした結末ではありません。) 『騎士の盃』[i](1953年)は、ヘンリ・メリヴェル卿の登場する22作目の、そして最後の長編となった。デビューが1934年の『プレーグ・コートの殺人』だったので、…
(本書のトリックについて言及しています。) 1950年代に入ると、ディクスン・カーの作品には明らかな衰えが目に付くようになった。短期的には、『コナン・ドイル伝』(1949年)で精力を使い果たしただけなのかもしれないし、一方で、『ニューゲイトの花嫁』…
(本書のほか、アガサ・クリスティの『五匹の子豚』、『邪悪の家』、エラリイ・クイーンの『フォックス家の殺人』、横溝正史の『女王蜂』、『悪魔の手毬唄』、『不死蝶』のプロット、犯人設定等について言及しています。) 『時計の中の骸骨』(1948年)[i]…
(本書の内容に触れているほか、『時計のなかの骸骨』およびアガサ・クリスティの長編小説に言及しています。) 1940年代後半になると、ディクスン・カーの創作力もめっきり衰えて、長編小説は急減する。数え方にもよるが、1930年代には、共作を含めて30冊(…
(本書のアイディア、真相に触れています。) 本書はハヤカワ・ポケット・ミステリ[i]に収録されたあと、1982年にハヤカワ・ミステリ文庫[ii]に収められた。訳者は変わっていないので、改題ということになる。旧題だと、単に離婚しただけのように受け取られ…
(本書の犯人およびトリックに触れています。) 1950年代に入って、カーはタガが外れてしまったようだ。それとも外れたのはブレーキか(カーだけに)。 『赤い鎧戸のかげで』(1952年)で、ヘンリ・メリヴェル卿は、自分を狙った賊を相手に、短刀で喉を切り…
バリー・ギブ「シャイン・シャイン」(1984.9) 1 「シャイン・シャイン」(Shine, Shine, B. Gibb, M. Gibb and G. Bitzer) バリー・ギブの14年ぶりのソロ・シングルは、ハーブ・アルバートもびっくりのカリビアン風ポップ・ナンバー。マイアミでレコーディン…
1984年は、ある意味記念すべき年となった。この年、バリーとロビンが初めて同じ年にソロ・アルバムをリリースし、モーリスもソロ・シングルを発表した。 1970年に、ロビンが初のソロ・アルバムをリリースしたとき、バリーとモーリスもソロ・アルバムを準備し…
ケニー・ロジャース/ドリー・パートン「アイランズ・イン・ザ・ストリーム」(1983.8) 1 「アイランズ・イン・ザ・ストリーム」(Islands in the Stream, B, R. and M. Gibb) 最初はデュエット曲ではなかったらしい。経緯はわからないが、最終的にケニー・ロ…
1983年は、ビー・ジーズにとって非常に活発な活動が見られた年だった。 ロビン・ギブの『ハウ・オールド・アー・ユー』、サウンドトラック『ステイン・アライヴ』、ケニー・ロジャース『愛のまなざし』と3枚もの関連アルバムがリリースされた。これだけのア…
1982年になると、ギブ兄弟は様々なプロジェクトを並行して進めるようになる。 『リヴィング・アイズ』の失敗で、当面グループでの活動には見切りをつけた、とも見ることができる。ディオンヌ・ウォーリク、ケニー・ロジャースのアルバム制作、ロビンのソロ・…
(本書の内容に触れているほか、横溝正史『悪魔の手毬唄』に言及しています。) 『九尾の猫』(1949年)は、『災厄の町』と並ぶエラリイ・クイーンの最高傑作である。・・・と、いうのが、アメリカでの評価らしい。フランシス・ネヴィンズ・ジュニアの『エラ…
『十日間の不思議』は、日本では「不思議な」運命を辿ってきた作品である。かつて、小林信彦が本書について、書評のなかで取り上げていた。少し長いが、引用しよう。 「ポケ・ミスにして三百頁以上の厚さで、登場人物は四、五人しか出ないので、さ ぞかし面…