2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

エラリイ・クイーン『クイーン検察局』

1950年代のエラリイ・クイーンを読むなら、まず『犯罪カレンダー』(1952年)と『クイーン検察局』(1955年)をお勧めしたい。 以下、収録された各作品の犯人や推理のポイントを明らかにしていますので、ご注意ください。 エラリイ・クイーンの創作方法は、…

横溝正史『迷路荘の惨劇』

(本書の犯人、トリック等のほか、坂口安吾『不連続殺人事件』、アガサ・クリスティ『ナイルに死す』のトリックに触れていますので、ご注意願います。追記:不正確な部分がありましたので、修正しました。2024年1月21日。) 『迷路荘の惨劇』(1975年)[i]は…

江戸川乱歩『吸血鬼』

(本書の犯人等の内容を明かしていますので、ご注意ください。) 江戸川乱歩の『吸血鬼』(1930-31年)には、吸血鬼は出てこない。九割方読み終わった(言うまでもないが、再読)あたりで、ふと思ったのが、何でこの小説は「吸血鬼」という題名だったのだろ…

横溝正史『夜の黒豹』

(本書および原型短編の犯人、トリック等を明かしています。) 『夜の黒豹』は、1963年3月号の『推理ストーリー』誌に掲載された「青蜥蜴」[i]を改稿して1964年8月に東京文藝社より刊行された[ii]。いわゆる横溝正史の長編化書下ろし作品の事実上の最終作で…

江戸川乱歩『魔術師』

(本書の犯人・トリックのほか、『孤島の鬼』のトリック等に触れています。) 『魔術師』(1930-31年)は、『蜘蛛男』(1929-30年)に続いて『講談倶楽部』に連載された長編ミステリである。連載が開始された1930年は、ジョン・ディクスン・カーが『夜歩く』…