2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

エラリイ・クイーン『エラリイ・クイーンの新冒険』

(収録作品の犯人等を明かしています。またモーリス・ルブランの長編小説に注で触れていますので、ご注意願います。) 『エラリイ・クイーンの新冒険』[i]はクイーンの第二短編集だが、一番目立っているのが中編の「神の灯」である。同作は、江戸川乱歩が惚…

J・D・カー『カー短編集1/不可能犯罪捜査課』

(収録短編の幾つかの結末を明かしていますので、ご注意ください。) ジョン・ディクスン・カーの初の短編集は、1940年にカーター・ディクスン名義で刊行された。処女作刊行から十年目というのは、早いのか遅いのか。もっとも、カーは最初の五年間ほどは、ほ…

エラリイ・クイーン『エラリイ・クイーンの冒険』

(短編によっては、犯人等を明らかにしていますので、ご注意ください。) 先頃(といっても、2018年)新訳が出た『エラリイ・クイーンの冒険』(1934年)[i]は、作者の最初の、そして代表的な短編集との定評がある。 『クイーンの定員』(1951年)にも選出さ…

クリスチアナ・ブランド『疑惑の霧』

(本書の犯人およびアイディアを明示していますので、ご注意ください。) クリスチアナ・ブランドの代表作といえば、昔は『はなれわざ』(1955年)、近年は『ジェゼベルの死』(1948年)だが、『疑惑の霧』(1952年)[i]も一貫して代表作のひとつに挙げられ…