2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョルジュ・シムノン『メグレとマジェスティック・ホテルの地階』

(犯人は伏せていますが、内容に立ち入っていますので、未読の方は、ご注意ください。) 2023年に、ハヤカワ・ミステリ文庫で、ジョルジュ・シムノンのメグレ・シリーズ作品が三冊続けて刊行された[i]のには驚いた。 あの伝説の河出書房版メグレ・シリーズ(…

江戸川乱歩『大暗室』

(本書の内容を詳しく紹介していますので、未読の方はご注意ください。) 最初、本書を手に取ったとき、その題名に、まず、しびれた。なにしろ、「暗室」(写真部か)に「大」をつけただけで、これほど怪しい魅力に富んだタイトルにしてしまうのである。何か…

江戸川乱歩『黒蜥蜴』

(本書のトリック等を紹介していますので、未読の方はご注意ください。) 戦前の江戸川乱歩は、次々にヒット作を生み出す大衆文学界の巨星だったから、代表作には事欠かない。『蜘蛛男』(1929-1930年)や『黄金仮面』(1930-1931年)などと並び、本書もその…

江戸川乱歩『一寸法師』

(本書の構成、トリック等のほかに、エラリイ・クイーン、ジョン・ディクスン・カーの代表作について触れているので、ご注意願います。) 江戸川乱歩の処女長編小説というと、『闇に蠢く』(1926年)ということになっている。しかし、この作品は雑誌『苦楽』…