2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧
(本書の内容に触れています。) 『殺人者と恐喝者(Seeing Is Believing)』[i](1941年)は、前作の『九人と死で十人だ』(1940年)などと同様、典型的な1940年代前半のカー(ディクスン)長編である。単純だが、巧妙なアイディアで一気に読ませる。長く絶版…
(本書のトリック等に触れています。) 『九人と死で十人だ(Nine and Death Makes Ten)』(1940年)は、前作の『かくして殺人へ』(同)や次作の『殺人者と恐喝者』(1941年)と並んで、カーター・ディクスン名義の長編中でも、もっとも入手困難な作品だった…
(本書の内容に触れています。) 『かくして殺人へ』(1940年)は、ディクスン・カー(カーター・ディクスン名義だが)の長編中でも知名度は底のほうだろう。 1956年に翻訳されていたが、1999年に新樹社版[i]が出版されるまで、かけねなしの幻の長編だった。…
(本書のトリック等に触れています。) 『曲がった蝶番』はジョン・ディクスン・カーの代表作のひとつに挙げられるが、どのような意味での代表作なのか、判断に迷うところがある。 江戸川乱歩は「カー問答」のなかで本作をカー長編の第二位の7冊のうちに入れ…
(内容に触れています。) 『Zの悲劇』(1933年)は、ドルリー・レーン四部作のなかでも、ある意味、一番論議を呼んできた作品である。 『Xの悲劇』、『Yの悲劇』は、「〇幕〇場」の演劇仕立ての章構成、シェイクスピア俳優だった主人公にちなんだ舞台劇っぽ…
(本書の内容に触れています。) 『火刑法廷』は、1970年代以降、ジョン・ディクスン・カーの長編のなかで、最も評価の上がった作品といってよいだろう。もともとカーの代表作と知られていたが、長らく絶版となっていたこともあって、幻の傑作扱いになってい…
(本書および『アメリカ銃の謎』、『Xの悲劇』の内容に触れています。) 『エジプト十字架の謎』(1932年)の最大の売り物は、ヨードチンキ瓶の推理だが、中盤にもすごい推理が出てくる。すごい、というか、ややこしい、というべきか。 第二の被害者トマス・…
『グレイテスト・ライヴ』(Here At Last … Bee Gees … Live, 1977.5) ビー・ジーズ初の公式ライヴ・アルバムは、ようやく1977年になって登場した。 本来、ビー・ジーズのようなポップ・バラードを得意とするグループはライヴに不向きだと思われているし、実…
英米デビューから10年たった1977年、ビー・ジーズ、とりわけバリー・ギブはソング・ライターとしての絶頂期を迎えた。マイダス王のごとく、彼が触れる、いや、書く楽曲は次々にゴールド(・ディスク)に変わった。黄金どころか、プラチナ(・ディスク)に変…