2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

エラリイ・クイーン『靴に棲む老婆』

(本書の推理やトリック、犯人のほかに、注で『Yの悲劇』のアイディアに言及しています。) ライツヴィル・シリーズが書かれた1940年代のエラリイ・クイーンの諸作品のなかで、『靴に棲む老婆』(1943年)は、ひときわ異彩を放っている。 1942年の『災厄の町…

E・クイーン『十日間の不思議』から『ダブル・ダブル』へ

(『十日間の不思議』のトリックと『ダブル・ダブル』の犯人を明かしていますが、『十日間の不思議』の犯人と『ダブル・ダブル』のトリックには触れていません。) (追記。すいません。『十日間の不思議』の犯人にも触れていました。) 『ダブル・ダブル』…

横溝正史「車井戸はなぜ軋る」

(本作の真相、トリックのほか、高木彬光、中井英夫の作品の内容に言及しています。) 「車井戸はなぜ軋る」(1949年)[i]は、戦後、横溝正史が書いた中短編小説でベスト・ファイヴに入る傑作である、・・・などと仰々しく述べるまでもなく、恐らく、衆目の…

横溝正史『悪魔が来りて笛を吹く』

(本書のほか、J・D・カーの長編小説のトリックに言及しています。) 『悪魔が来りて笛を吹く』は、横溝正史が代表作と自負する長編である。1976年頃のエッセイで、自作のベストを選定するにあたって、田中潤司の選んだ5作(『獄門島』『本陣殺人事件』『犬…