E・クイーン

エラリイ・クイーン三部作:『ローマ帽子の謎』『フランス白粉の謎』『オランダ靴の謎』

(記事タイトルを変更、2023/3/25。『ローマ帽子の謎』、『フランス白粉の謎』、『オランダ靴の謎』の内容に触れています。) エラリイ・クイーンの最初の三つの長編ミステリが、共通の外観を備えていることは周知の事実だろう。 公共の場を舞台に、不特定多…

エラリイ・クイーン『エジプト十字架の謎』

(『エジプト十字架の謎』のほか、アガサ・クリスティ『ABC殺人事件』、G・K・チェスタトン「折れた剣」、横溝正史『真珠郎』の内容に触れています。) 『エジプト十字架の謎』(1932年)は、エラリイ・クイーンの作品中、もっとも親しまれ、読まれてきた長編…

E・クイーン『ギリシア棺の謎』

『ギリシア棺の謎』(1932年)は、エラリイ・クイーンの最高傑作とされる。 次から次へと推理を組み立てては壊していく、その様は、まさにロジック・ブレイカー、いやスクラップ・アンド・ビルドか。エラリイ・クイーン(作者および探偵)が、目を血走らせ、…

E・クイーン『Xの悲劇』

(犯人および推理内容を明かしていますので、ご注意ください。) Xと言えばY、ちょっと離れてZ、というのがエラリイ・クイーンのXYZ三部作の日本における評価だろうか。 『Zの悲劇』も(バーナビー・ロス名義だが)エラリイ・クイーンの傑作とする声は多いが…

エラリイ・クイーン『Yの悲劇』

『Yの悲劇』(1932年)は今読まれているのだろうか。 『Yの悲劇』といえば、本格ミステリの最高峰として知られてきた。日本では常にベスト10、ベスト100の上位を占め、あまりの根強い人気に「いつまでも『Yの悲劇』でもないだろう」、という声も多かったよう…

エラリイ・クイーンとマルクスー『悪の起源』

表題のマルクスはマルクス兄弟ではない。 エラリイ・クイーンは、パズル・ミステリ作家のなかでもひときわ異彩を放っている。彼(ら)ほど、論理に拘った推理作家は英米でもまれだろう。同時代のアガサ・クリスティやジョン・ディクスン・カーらに比しても、…