横溝正史

横溝正史『女が見ていた』

(本書の内容に触れています。) 『女が見ていた』(1949年)は、数多い横溝作品のなかでも、異色作という意味では筆頭に挙げられるだろう。 金田一耕助や由利麟太郎のような名探偵もののシリーズではなく、しかも新聞小説である。本作について、解説を書い…

横溝正史『八つ墓村』

(『八つ墓村』、『夜歩く』のほか、A・クリスティの『ABC殺人事件』の内容に言及しています。) 『八つ墓村』(1949-51年)は、横溝正史の代表作であると同時に、『犬神家の一族』と並んで、日本で最も名の知られたミステリ長編の一つだろう。 ストーリーの…

横溝正史「黒猫亭事件」

(「黒猫亭事件」のほか、『白蠟変化』、『夜光虫』、『真珠郎』、『双仮面』、「神楽太夫」、『夜歩く』、『悪魔の手毬唄』、『白と黒』の横溝作品、およびG・K・チェスタトン「折れた矢」、A・クリスティ『ABC殺人事件』、E・クイーン『エジプト十…

横溝正史『女王蜂』

『女王蜂』は横溝正史の代表作のひとつだが、言及されることは少ない。 本作は、『犬神家の一族』(1950-51年)に続いて雑誌『キング』に1951年6月号から翌年5月号まで1年間連載された。前作の好評による連続連載だったと推察されるが、事実『犬神家の一族』…