2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

エラリイ・クイーン『帝王死す』

(本書の犯人、トリックを明らかにしているうえに、「クリスマスと人形」、「七月の雪つぶて」の真相、他にアガサ・クリスティと横溝正史の作品のアイディアに言及しています。) 飛び切りの異色作、というのが『帝王死す』(1952年)[i]に与えられた一般的…

ジョン・ディクスン・カー『三つの棺』(その2)

(本書のトリックのほか、G・K・チェスタトン「マーン城の喪主」の内容に触れています。) 松田道弘は、ジョン・ディクスン・カーの『三つの棺』(1935年)[i]で作者がやりたかったことについて、次のように述べている。 「カーがやりたかったのは、この作品…

アーサー・コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの回想』

(「最後の事件」のネタバレをしています-断る必要ないでしょうけれど。) 『シャーロック・ホームズの冒険』に続けて、『シャーロック・ホームズの回想』[i]を読み返してみた。こちらも数十年ぶりである。そしてやはり、大変楽しめた。 『冒険』は、1891年…

ニコラス・ブレイク『雪だるまの殺人』

(本書のほかに『死の殻』の真相に触れています。) ニコラス・ブレイクの第七長編『雪だるまの殺人』(1941年)[i]は、一見すると、前作『ワンダーランドの悪意』、前々作『短刀を忍ばせ微笑む者』と比べて、オーソドックスなパズル・ミステリに戻った感が…