2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

J・D・カー『死の館の謎』

(犯人やトリックは一応伏せていますが、未読の方はご注意ください。それと、似たトリックを用いているカーの他の長編に注で触れています。) 『死の館の謎』(1971年)[i]は、ジョン・ディクスン・カーの70冊目か、そのあたりの作品となる。というより、最…

J・D・カー『亡霊たちの真昼』

(本書の犯人、トリックのほかに、『墓場貸します』およびエラリイ・クイーン『十日間の不思議』のトリックに触れています。) 「ニュー・オーリンズ三部作」の第二作である本書[i]は、翻訳されたのも二番目だったが、なんと、最終作の『死の館の謎』(1971…

J・D・カー『ヴードゥーの悪魔』

(本書の犯人およびトリックは明かしていませんが、ほのめかしてはいます。) 『ヴードゥーの悪魔』(1968年)は、2006年に翻訳出版された[i]。実に38年かかっている。しかし、『エドマンド・ゴッドフリー卿殺害事件』(1936年)に至っては55年かかっている…

J・D・カー『月明かりの闇』

(本書の犯人、トリック等について言及しています。) 2000年に翻訳出版された『月明かりの闇-フェル博士最後の事件-』(1967年)[i]は、副題どおり、フェル博士シリーズの最後の長編である。しかし、別に原題に「最後の事件」と謳っているわけではないの…

J・D・カー『仮面劇場の殺人』

(本書のトリック等のほか、G・K・チェスタトンの短編小説、E・クイーンの長編小説、横溝正史の長編小説の内容を明かしています。) 1966年、ディクスン・カーは前年に引き続いてフェル博士を主役とした長編ミステリを発表した。『仮面劇場の殺人』[i]は、カ…

J・D・カー『悪魔のひじの家』

(本書の犯人、トリックのほか、『孔雀の羽根』、『第三の銃弾』の内容に言及しています。) 1965年、ディクスン・カーは、突然、五年ぶりにフェル博士が登場するミステリ長編を発表した。それが『悪魔のひじの家』(1965年)である。しかし、翻訳が出たのは…

J・D・カー『深夜の密使』

(本書の犯人やアイディアを明かしていますが、わかっていても、あまり差支えはないと思われます。) 1962年に『ロンドン橋が落ちる』を発表した翌年、ディクスン・カーは脳卒中の発作で倒れ、療養を余儀なくされた[i]。このことは当時の日本で紹介されたの…