2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ビー・ジーズ1972

「マイ・ワールド」(1972.1) 1 「マイ・ワールド」(My World, B. & R. Gibb) ビー・ジーズのシングル・レコードは、「トゥ・ラヴ・サムバディ」が典型のように、メロディアスなイントロが特徴であることが多いが、「マイ・ワールド」はまるでリハーサルの音…

ビー・ジーズ1971(2)

『トラファルガー』(Trafalgar, 1971.11) 『トラファルガー』は1970年代前半のビー・ジーズのアルバムのなかでベストの作品であるという評価に多くのファンが同意することと思う。バリーとロビンの黄金ライター・コンビが復活することで、前作よりもはるかに…

ビー・ジーズ1971(1)

「傷心の日々」(1971.5) 1 「傷心の日々」(How Can You Mend A Broken Heart, B. & R. Gibb) 「ロンリー・デイズ」から半年後に発表された、リユニオン後の2枚目のシングル。なぜこんなに間があいたのか不思議だが、モーリスのコメントによると、「ロンリー…

ビー・ジーズ1970(3)

「ロンリー・デイ」(1970.11) 1 「ロンリー・デイ」(Lonely Days) 1970年8月に、ギブ兄弟3人での活動再開をメディアに宣言した後、最初に発表されたシングル。イギリスでは、脱退騒動の悪印象が影響してか、最高位33位と不評。ドイツでも思ったほど伸びず25…

ビー・ジーズ1970(2)

「アイ・オー・アイ・オー」(1970.3) 1 「アイ・オー・アイ・オー」(I. O. I. O.) ビー・ジーズの7か月ぶりのシングルが出たとき、すでにグループは消滅し、コリン・ピーターセンは解雇され、バリーとモーリスはソロ・レコーディングに取り掛かっていた。も…

ビー・ジーズ1970(1)

ロビン・ギブ「夏と秋の間に」(1970.1) 1 「夏と秋の間に」(August October) ロビン・ギブの第三弾シングルは、前作から間を置かずに1970年早々に発売された。 前作の「ミリオン・イヤーズ」があまりに重々しいバラードだったことを反省してか、こちらはもう…

カーター・ディクスン『読者よ、欺かるるなかれ』

『読者よ欺かるるなかれ』(1939年)は、カーター・ディクスン名義の異色長編である。といっても、カーには異色長編が多い。 例によって、カー作品ではおなじみの怪奇な謎が全編を覆っている。今回いささか異なるのは、SF的な超能力(テレフォース)による遠…

カーター・ディクスン『ユダの窓』

『虚無への供物』(1964年)で、日本ミステリ史上に名を残す中井英夫のエッセイに、『虚無』を書くきっかけとなったミステリについて語ったものがある。鎌倉まで所用があって、車中で時間をつぶすために分厚いミステリを貸本屋で借りた、という話である。読…

J・D・カー『帽子収集狂事件』(補遺)

ジョン・ディクスン・カーの長編を系統的に見ていくと、探偵の交代とともに、作風の変化が見て取れる。バンコラン・シリーズの4作品から、ロシターものの『毒のたわむれ』を経て、1933年の『魔女の隠れ家』でフェル博士のシリーズが始まる。バンコランの無国…